39アート in 弘前、密着報告!
3月9日 39(サンキュー)アート。
全国的な、アートのイベントが開かれる日らしい。
39アート。
この日、『AtoZ展』開催地の弘前では
奈良美智+grafがこの夏、
これまでの小屋作品全てを結集させる
吉井酒造煉瓦倉庫で。
制作が始まったばかりの生の現場が見られるという
幸運に預かった。参加者は27名。
まだ春の雪が残る弘前。倉庫の中は格別冷える。
暖かいヤッケに身をくるんだ小さな子供も
今日の参加者。
f0041819_19322840.jpg

弘前には色んな噂が飛び交っている。

「弘前にgrafが来るんだって!」
「いやもう、来てるんだって!」
「奈良さんも来るらしいよ?」
「世界中から今までに作られた小屋達が集まって来てるんだって!」

それって本当?

39アートに参加してみてわかりました。
全部本当でしたっっ!!
f0041819_19332168.jpg

倉庫の中では資材を搬入するgrafの姿が……!
黙々となんだか楽しげに運んでいく。
格好いい。
突然、奈良さんが来て言った。
「豊嶋君、デジカメ持ってる? 搬入するとこが格好いいから……。」
(デジカメ? ハッ……。私、持ってる!)
「とと、撮ってきていいですか!?」
慌てて走る私。「うおー!」
つうか、奈良さんにカメラ渡せば良かったのか!?
途中でカメラマンの『世界の長谷川』(個人名)を見つけ、頼む。
「搬入するとこ格好いいからすぐ撮って!!」
動揺する世界の長谷川。
「お…おう!」
しかし、瞬時に写真を撮ってしまう世界の長谷川。
さすがプロね。
f0041819_19335617.jpg

そうこうするうち、倉庫の中に27人全員集合。
奈良さんから、まず一言。
「とにかく、今日目に留めておいて欲しいのは、
今の状態。すごいこう、混沌とした状態。…色んな材料が積まれてたりするんだけど。

それがどんな風に変わるのか、楽しみにしておいてくれたらいいなあ…と。」

豊嶋さん
「まさにそういうことだと思うんですけど……
ここの煉瓦倉庫自体が、すごく。強くもあり、優しくもあり。
ここに入ること自体、展覧会以外では、
あまりないことだと思うので。
空間。世界を知ってもらえたらいいなって。
AtoZの時に今日観てないと実は、わからないというか。
僕らの展覧会でいつも勘違いされるのは、
小屋を建ててていつも、それ(小屋)が元から
そこにあると思われてたりするけど…、
何もなかったところに、街ができるのさっていうのを
今日体験してもらえると思う。」


「…貴重な体験!」
奈良さんが、照れながら言った。
f0041819_19341675.jpg

倉庫の「白い部屋」で、
参加者全員でAtoZへの道のりが記されたフィルムを見る。
高い天井。窓の高い位置から細く光が差し込み、
まるで礼拝堂みたい。

白い壁に映し出された映像には、
初めて煉瓦倉庫を訪れた時の、奈良さんの姿が映っていた。
f0041819_19344762.jpg

倉庫を見上げた顔が本当に、「わあ…っ」っていう
言葉にならないものを感じていて。
ここから全てが始まったんだなと思う。
2002年の『I DON'T MIND,IF YOU FORGET ME.』から、
grafとの出会い。
サンダーの音。廃材からつくられる小屋。
流れるロック。
   地図には載っていない架空の街。
フィルムの中で奈良さんは、
AtoZへの気構えをこう語っていた。
「忘れちゃいけないのは、自分を見失わないこと。
自分が、自分たちがやりたくて、やってることだから。」

ふと、奥の部屋を見るとサンダーの細かい木の粉に埋もれた
ラジカセがある。
カンナ、ヤスリ、ドリル、梯、クギヌキ。
時折grafの人達がすごく大きな資材を持ち上げて
横を通り過ぎていく。広い広い倉庫の中、
一つ一つを手で運ぶ人達。

「自分たちがやりたくてやってることだから」

彼らは本当に夢を叶えるための、
強い何かを持っている。

上映の後、奥に拡がる「黒い部屋」を、
なんと。grafの豊嶋さんの案内で
紹介してもらう。
なんという幸運!
黒い部屋には世界中から海を渡って運ばれてきた
小屋の廃材達が積まれていた。
f0041819_19353052.jpg

豊嶋さんが広い倉庫の中を歩きながら、
資材を指さして言う。

「一番奥にあるのが…実は、grafが作ったんじゃないんですが。
ハワイ。ハワイの資材で、
その手前にあるのが去年ここ(煉瓦倉庫)でやってた、弘前。
奥がTaipei Summer Houseで、これは台湾のタイペイで集めたものばかりです。
これは大阪のhome展。ここが横浜トリエンナーレ。
この辺(の資材)が韓国のSeoul Houseで、ロダンギャラリーの
ロダンの作品が見える造りになってる。」

そこには、本当に「世界中から」、奈良美智+grafが
今まで制作してきた小屋達が集まっていた。
行きたくていけなかった、ソウルハウス!
『Fiction Love』展のタイペイ・サマーハウス!
横浜美術館にホノルル現代美術館!
大阪home展!!
KATHY+grafの、炎のメリーゴーラウンド!!

一瞬だけ、全てが立ち並んだ夢の街が錯覚で見えた。
本当に全てが集まってきてたのだ。

豊嶋さん
「これは、金津創作の森でAILAっていう川内倫子さんの
写真展の展示用に、古い布をつぎはぎして作ったテントで、
ここでゲスト・アーティストとして
川内倫子さんやヤノベケンジ君、……さん、……さん、
杉戸洋さんにも、作品を展示してもらおうと思ってます。
資材には全部番号がふってあって、
いつでも元に戻せるようになっている。
明日(3月10日)また、タイから資材
(『束の間の美術館ソイサバーイ』展の小屋)が搬入されます。」

世界中からこの一点に。青森県弘前市の、
吉井酒造煉瓦倉庫を目指して解体された作品が集まり、
また建てられるのを待っている。
この後、我々は今まで展覧会で足を踏み入れることのなかった
煉瓦倉庫の二階へと案内された。
ここでのことは、全てが秘密だ。
f0041819_1936233.jpg

今年の夏、全ての秘密が解き明かされる。
弘前の倉庫の巨大な空間に、夢の街ができあがる。
夏になれば、
その街角に迷い込んだ私はその世界を見上げ、
懐かしい匂いを嗅ぐのだろう。

夢の中で見たその街が
現れる日はあと、数ヶ月先である。
f0041819_19362270.jpg

(写真=AtoZ実行委員会 長谷川正之 文=山田スイッチ)
[PR]
by AtoZ_reporter | 2006-03-14 18:53 | ☆イベント・リポート


<< 3/15  A to Zサロ... 2/25、AtoZ公式記者発表... >>


Copyright 2006 Yoshitomo Nara + graf All rights reserved.
掲載された記事・写真の無断複写・転載はご遠慮ください。